「営業に向いてないのは甘えなのかな……」
「結果が出ないのは努力不足だから?」
「辞めたいと思う自分が弱いだけなのだろうか」

このような悩みを抱えながら、この記事にたどり着いた方も多いのではないでしょうか。新卒で大手不動産会社に入社した私は、賃貸仲介営業として約8年間、現場で働き続けました。入社前は、お客様と楽しく部屋探しをする仕事だと思っていましたが、実際は毎月の売上ノルマだけでなく、管理物件の獲得や付帯サービスなど複数の目標に追われる毎日でした。

私はもともと内向的で、人の顔色を気にしてしまう性格です。断られるたびに落ち込み、店長から営業方法を指摘されるたびに「営業ができない自分」を責め続けていました。飛び込み営業では精神的に追い詰められ、公園で時間を持て余してしまったこともあります。

「営業に向いていないなんて甘えだ」
「もっと努力しないと」

当時は、そう自分に言い聞かせていました。その後、営業職から事務職へ異動し、現在は金融業界の事務職として働いています。

営業を離れた今だからこそ思うのは、「営業に向いていない」と感じていた原因は、努力不足ではなく仕事との相性だったということです。

この記事では、私自身の経験をもとに、次の内容についてお伝えします。

営業がつらくて自分を責めている方が、「今後どう働いていくか」を考えるきっかけになれば嬉しいです。

この記事の結論

営業向いてないは甘えでない。努力不足でなく仕事との相性

私自身、営業時代は毎日「努力が足りないから売れないんだ」と思い込んでいました。ですが営業を離れ、事務職として働くようになってからは、自分の強みが「数字を追うこと」ではなく、「誰かを支えること」にあると気付きました。

営業で評価されなかった私でも、事務職では感謝され、今では営業サポートとして仕事を任せてもらえています。もし本当に甘えだったのであれば、仕事を変えても同じように評価されなかったはずです。だから私は、「営業に向いていない」と感じる人すべてが努力不足だとは思いません。

大切なのは、自分を責め続けることではなく、「営業そのものが合わないのか」「今の営業スタイルや会社が合わないのか」を分けて考えることです。

「営業に向いてない=甘え」と言われる3つの理由

営業向いてないが甘えと言われる理由。努力論・比較・我慢

営業について検索すると、「甘えるな」「営業は誰でも最初はつらい」「結果が出るまで続けるべき」という意見を目にすることがあります。では、なぜ「営業に向いてない」と感じる人は甘えだと言われてしまうのでしょうか。

1. 営業は努力で成長できる仕事だから

営業は経験を積むほど、次のようなスキルが身につきやすい仕事です。

  • 話し方
  • 提案力
  • ヒアリング力
  • クロージング

そのため、成果が出ない段階だけを見て「努力が足りない」と言われることがあります。実際、私も店長から「なんでもっと押せなかったの?」「どうしてそこで提案しなかったの?」と何度も言われました。

もちろん、改善できる部分はあったと思います。ただ、そのたびに私は「仕事の進め方」を直されているのではなく、「自分という人間そのものを否定されている」ように感じていました。

努力で伸びる部分は確かにあります。しかし、努力だけでは埋められない「向き・不向き」があることも事実です。

2. 成果を出している人が身近にいるから

営業会社では、毎日のようにランキングが共有されたり、表彰制度があったりします。同期が昇格し、賞与をたくさん受け取っている姿を見ると、「みんなできているのに、自分だけできない」という気持ちになりやすいものです。

私も営業時代は、ランキングで自分の名前が後ろの方にあるたびに「やっぱり自分が悪いんだ」と思っていました。でも今振り返ると、同期は私より努力していたというより、「営業という仕事に向いていた」のだと思います。

実際、プレッシャーをやる気に変えられる人や、断られてもすぐ切り替えられる人は、楽しそうに営業をしていました。逆に私は、一件断られただけでも何日も引きずってしまうタイプでした。

3. 「仕事はつらくて当たり前」という価値観が残っているから

以前より減ってきたとはいえ、「仕事なんだから我慢して当然」「石の上にも三年」という考え方は、今でも根強く残っています。私自身も、「周りもみんな我慢して働いているんだから」と自分に言い聞かせながら働いていました。

ですが、我慢し続けた結果どうなったかというと、営業が嫌いになっただけでした。飛び込み営業が怖くなり、公園でぼんやりと時間を過ごしてしまったこともあります。強いストレスから無意識に髪を抜いてしまう癖がつき、「今日は何を言われるのだろう」と毎朝重い気持ちで出社していました。

※今思えば、それは「甘え」ではなく、心が限界に近づいていたサインだったのだと思います。

営業に向いてないのは甘えではないと言える4つの理由

営業向いてないは甘えでない理由。相性・種類・性格・環境

私は営業時代、「営業に向いていない」と感じるたびに、自分を責めていました。「もっと努力しなければ」「同期はできているのに、自分だけできない」と考えていましたが、営業を離れた今は考え方が大きく変わりました。

営業に向いていないと感じることは、決して甘えではありません。ここでは、その理由を私自身の経験も交えながらお伝えします。

1. 人には仕事との相性があるから

仕事には、向き・不向きがあります。これは営業だけではありません。例えば、次のように人それぞれ得意分野は異なります。

  • 細かい作業が得意な人
  • アイデアを考えることが得意な人
  • 人前で話すことが得意な人

営業でも同じです。営業というと「話し上手な人」が向いていると思われがちですが、実際にはそれだけではありません。断られても切り替えられること、数字をモチベーションにできること、初対面の人とも自然に距離を縮められることなども求められます。

私はもともと、人の気持ちを考えすぎる性格でした。お客様から断られると、「話し方が悪かったのかな」「もっと違う提案ができたかもしれない」と何日も考え込んでしまいます。

営業ではマイナスになっていたこの性格も、現在の事務職では「相手の立場に立って考えられる」と評価されることが増えました。つまり、性格が悪かったのではなく、その性格を活かせる仕事ではなかっただけなのです。

2. 営業にもさまざまな種類があるから

「営業が向いていない」と一言で言っても、実際には営業にはさまざまな種類があります。

それぞれの仕事で求められる能力は異なります。私は賃貸仲介営業だけでなく、物件を増やすための飛び込み営業も担当していました。面識のないお宅を一軒ずつ訪ねて回り、「お部屋をお探しのお客様がいらっしゃるので、少しだけお話を伺えませんか」と声を掛けます。

歓迎されることはほとんどなく、玄関先で声を荒げられたり、警察を呼ばれたりしたこともありました。それでも会社では、「営業なんだから当たり前」「足を運び続ければいつか契約になる」と言われます。私は、この飛び込み営業が本当に苦手でした。

一方で、現在は営業担当のサポートをする仕事をしています。営業マンが働きやすいように資料を作成したり、契約手続きを進めたりする仕事は、とてもやりがいを感じています。

この経験から、「営業が向いていない」のではなく、「今の仕事内容が自分に合っていなかった」だけだったのだと気付きました。

3. 努力だけでは変えられない性格もあるから

営業では、「断られてからがスタート」という言葉を聞くことがあります。実際、それを前向きに受け止められる人もいます。しかし私は違いました。断られるたびに、「また失敗した」「店長に何て言われるだろう」と、そんなことばかり考えてしまいました。

もちろん、気持ちの切り替え方を学ぶことはできます。ですが、生まれ持った性格まで簡単に変えられるわけではありません。私は今でも内向的ですし、人の顔色も気になります。でも、それが事務職では困ることはほとんどありません。

営業では短所だった性格が、仕事を変えたことで長所になりました。「性格を変える努力」よりも、「性格を活かせる仕事を選ぶこと」の方が、自分には合っていたのだと思います。

4. 環境を変えることで評価が変わる人もいるから

私が一番伝えたいのは、この理由です。営業時代、私は売上ランキングではいつも下位でした。同期は昇格し、賞与をたくさんもらっていました。一方で私は、「営業に向いていない」「会社のお荷物なんじゃないか」と思い続けていました。

ところが、事務職へ異動すると状況は一変しました。営業マンをサポートすると、「助かった」「ありがとう」と言ってもらえることが増えたのです。自分では当たり前にやっていた事務作業でも、営業担当からすると大きな助けになっていたようでした。

今の会社でも、資料作成やスケジュール管理、営業サポートなどを任せてもらっています。営業では評価されなかった私でも、仕事を変えたことで必要としてもらえるようになりました。

営業に向いていない人の特徴

営業向いていない人の特徴。気遣い・数字負担・切替が苦手

ここまでお伝えしてきたように、営業に向いていないことは甘えではありません。では、どのような人が営業で苦労しやすいのでしょうか。私自身や、一緒に働いてきた人たちを見て感じた特徴を紹介します。

人の気持ちを考えすぎる人

営業では、お客様に提案する場面がたくさんあります。しかし、「押し売りと思われたくない」「断られたら申し訳ない」という気持ちが強いと、最後の一歩を踏み出せません。

私も店長から「なんでそこで一言押さなかったの?」と言われることが何度もありました。でも、お客様が少しでも迷っている様子を見ると、それ以上勧めることができなかったのです。

数字で評価され続けることが苦手な人

営業では、努力ではなく結果が評価されます。毎月ランキングが発表され、売上目標が設定され、達成率が比較されます。私はこの環境が本当に苦手でした。

毎月の数字を見るだけで胃が痛くなり、「また今月もダメだった」と落ち込むことを繰り返していました。数字をゲームのように楽しめる人には向いていますが、数字そのものがストレスになる人には厳しい環境だと思います。

断られることを引きずってしまう人

営業では断られることが日常です。しかし私は、一件断られただけでも「何が悪かったんだろう」と考え続けてしまうタイプでした。その結果、次のお客様とも自然に話せなくなってしまうこともありました。

失敗を切り替えることが苦手な人ほど、営業では精神的に疲れやすいと感じます。

オンとオフを分けたい人

営業は、お客様都合で動く仕事です。休日でも電話が鳴ることがありますし、繁忙期には仕事のことを考えながら休日を過ごすことも珍しくありません。

私は休みの日でも、「明日は何を言われるだろう」「数字が足りない」ということばかり考えていました。仕事とプライベートをしっかり分けたい人は、営業以外の職種の方が合う場合もあります。

営業に向いてないと感じたときに試してほしいこと

営業向いてないと感じたら。原因の切り分けと働き方整理

営業に向いていないと感じたからといって、すぐに退職する必要はありません。大切なのは、「営業が向いていない」のか、「今の会社や働き方が合っていない」のかを整理することです。私自身も当時この考え方ができていれば、もっと早く気持ちが楽になっていたと思います。

1. 「営業そのもの」が苦手なのか考えてみる

営業と一言でいっても、仕事内容はさまざまです。私の場合、一番苦しかったのは飛び込み営業でした。知らない家を訪問し、怒鳴られたり、警察を呼ばれたりすることもありました。一方で、お客様と部屋探しをする接客自体は、それほど嫌いではありませんでした。

実際、一番印象に残っているのは、地方から上京してきた新卒のお客様を担当したときです。私自身も地元を離れて関東へ出てきた経験があったので、不安な気持ちがよく分かりました。自然と会話も弾み、無理に営業をしようとしなくても契約につながりました。

また、外国籍のお客様が希望する物件が外国籍不可だったときには、どうしても力になりたくて家主さんのもとへ何度も通い、最終的に入居を認めてもらえたこともあります。

こうした経験を振り返ると、私は「人を支えたい」という気持ちはあっても、「数字のために契約を取りにいく営業」は向いていなかったのだと思います。

2. 今の会社の営業スタイルが合っていない可能性もある

営業がつらい原因は、仕事内容だけとは限りません。例えば、次のような要素によって働きやすさは大きく変わります。

  • ノルマの厳しさ
  • 上司のマネジメント
  • 評価制度
  • 労働時間
  • 扱う商材

私が勤めていた会社では、毎月の売上だけではなく、管理物件の獲得、付帯サービス、店舗全体の目標など、複数の数字を追い続ける必要がありました。

さらに店長からは、「もっと押せ」「家主に手数料交渉をしてこい」と数字を上げるための指導を受ける毎日でした。こうした環境が合う人もいます。しかし、人によっては精神的な負担が大きくなりすぎることもあります。

3. 自分の得意な働き方を考えてみる

私は営業から事務へ異動したことで、自分の得意な働き方に気付きました。営業時代は、「どうやったら売上を上げられるだろう」と毎日悩んでいました。

一方で事務職になると、営業担当が仕事をしやすいように資料を作ったり、契約書を準備したりする仕事が増えました。すると、「助かりました」「ありがとう」と言ってもらえる機会が増えたのです。

そのとき初めて、「私は前に立って成果を出すよりも、誰かを支える仕事の方が好きなんだ」と気付きました。仕事には、主役として活躍する人もいれば、サポート役として力を発揮する人もいます。どちらが優れているという話ではありません。

自分の強みを活かせる環境を選ぶことが大切なのだと思います。

私が「営業に向いてないのは甘えじゃない」と思えた理由

営業を離れて変わった働き方。週休2日・在宅・心の余裕

営業時代の私は、「営業ができない自分には価値がない」と思っていました。同期は次々に昇格し、表彰され、賞与も増えていく。その一方で私は営業成績が伸びず、毎日のランキングを見るたびに落ち込んでいました。

飛び込み営業へ足が向かず、公園でただ時間をやり過ごしたこともあります。案内の予定がないのに「現地待ち合わせです」と嘘をつき、時間だけをやり過ごした日もありました。今思えば、完全に追い詰められていました。

それでも辞められなかったのは、「辞めるのは逃げだ」「もっと頑張れば変われる」と思っていたからです。

しかし、営業から事務へ異動すると状況は大きく変わりました。数字を追う毎日ではなくなり、営業担当や管理担当をサポートする仕事になったことで、以前よりも落ち着いて働けるようになりました。

さらに金融業界の事務職へ転職してからは、営業時代とはまったく違う働き方ができています。

年収も少しずつ上がり、精神的にも以前とは比べものにならないほど余裕ができました。

もしあの頃の私に声を掛けられるなら、
「営業を続けられないことを責めなくていい」
「辞めると言う勇気の方が、そのまま我慢するよりずっと小さいプレッシャーだよ」
と伝えたいです。

よくある質問(FAQ)

営業向いてない甘えFAQ。慣れ・転職可否への回答

営業に向いてないと思うのは甘えですか?

いいえ、一概に甘えとは言えません。営業は経験で成長する部分もありますが、性格や価値観との相性も大きく影響します。努力不足と決めつける前に、自分に合った働き方かどうかを考えてみることが大切です。

営業は続ければ慣れますか?

慣れる人もいます。一方で、何年続けても精神的な負担が大きい人もいます。私自身は約8年間営業を経験しましたが、「慣れた」というより「我慢していた」時間の方が長かったように思います。

営業に向いてない人でも転職できますか?

十分可能です。私自身も営業から事務職へ異動し、その後は金融業界の事務職へ転職しました。営業経験で身につくコミュニケーション能力や対応力は、多くの職種で評価されます。営業経験が無駄になることはありません。

まとめ

営業向いてない甘えまとめ。相性を見極め環境を選ぶ

営業に向いていないと感じることは、甘えではありません。もちろん、営業は努力によって成長できる仕事です。しかし、それだけで乗り越えられない「向き・不向き」があることも事実です。

私自身、営業時代は「努力不足だから結果が出ない」と思い続けていました。ですが、事務職へ異動し、さらに転職を経験したことで、それは努力不足ではなく「仕事との相性」だったのだと気付きました。

もし今、「営業に向いてない自分はダメなんじゃないか」と悩んでいるのであれば、自分を責める必要はありません。今の会社で改善できることがあるなら挑戦してみる。それでも毎日が苦しく、自分らしく働けないのであれば、環境を変えることも立派な選択です。

私は営業を辞めたことを一度も後悔していません。むしろ、「もっと早く、自分には合わない仕事だと認めても良かった」と思っています。

仕事は、苦しみ続けるためにするものではありません。あなたが自分らしく働ける場所は、今の職場以外にもきっとあります。