「生成AIが仕事に使えるのは分かるけれど、自社では何から始めればいいのか」「便利そうな一方で、情報漏えいや誤回答が心配」——そのように感じている小さな会社も多いのではないでしょうか。
生成AIは、文章や画像などを作るAIサービスです。すべての業務を置き換えるものではありませんが、メールの下書きや会議内容の整理など、繰り返し発生する仕事を助ける用途があります。この記事では、多摩地域の中小企業が生成AIを使い始めるときに知っておきたいサービスの種類、活用例、メリットと注意点、社内ルールの作り方を紹介します。
生成AIにはどんな種類がある?

生成AIのサービスは、使う目的や仕事の流れによって大きく分けられます。まずは、自社が普段使っている道具や困っている作業に近いものから見ていきましょう。
チャット型の生成AI
質問や指示を文章で入力し、文章の作成、要約、アイデア出し、調べものの整理などを依頼するタイプです。ChatGPTやGeminiなどが代表例です。メールのたたき台、案内文、社内向け説明資料の構成、問い合わせへの回答案などを作る場面で使えます。
オフィスソフトに組み込まれた生成AI
Microsoft CopilotのようにWord、Excel、PowerPoint、Outlook、Teamsなどで使うものや、Google WorkspaceのGeminiのようにGmail、Docs、Sheets、Meetなどで使うものがあります。普段の作業画面から文章や表の作成、会議メモの整理を頼めるため、既存の業務環境との相性を確認しやすいのが特徴です。利用できる機能は契約プランや設定によって異なるため、Microsoftの機能案内やGoogle Workspaceの案内で確認しましょう。
画像・音声・動画などを作る生成AI
文章から画像を作る、音声を文字にする、動画や音声の素材を作るといったサービスです。チラシやWebサイトの画像案、動画の字幕、広報素材のアイデア出しなどに使えます。公開前には、内容の正確さ、ブランドとの一貫性、利用条件や権利関係を人が確認します。
特定の業務に合わせたAIツール
議事録作成、問い合わせ対応、書類の読み取り、社内資料の検索など、決まった業務の流れに合わせたツールもあります。社内資料や顧客データと連携する場合は、誰がどの情報を見られるのか、入力内容がどう扱われるのかを事前に確認することが大切です。
中小企業で使いやすい生成AIの活用例

- メール・案内文の下書き:伝えたい要点や相手、文体を指定して初稿を作り、担当者が内容を整える。
- 会議の議事録・文字起こし:私も議事録作成や文字起こしにAIを活用しています。会議の記録から合意事項・担当者・期限を整理でき、認識の食い違いを減らす助けになります。打ち合わせ後に先方へ送る内容確認メールの下書きにも使えるため、一から議事録を作る手間を省けます。録音やAI利用について参加者に事前に伝え、会議内容との相違や漏れがないか確認してから共有しましょう。
- WebサイトやFAQの改善:よくある質問を分類し、回答案やページ構成を作る。価格、営業時間、対応範囲などは公開情報と照合する。
- 社内文書の要約:公開してよい資料や匿名化したサンプルを使い、長い文章を短く整理する。
- 表データの整理:アンケートの自由記述を分類したり、データから確認すべき傾向を探したりする。顧客情報や売上情報を扱う場合は、利用サービスと社内ルールを先に確認する。
多摩地域の小売店、製造業、建設業、サービス業などでも、まずは「毎回似た文章を作っている」「情報を短く整理する時間がかかる」といった身近な作業から検討できます。業種ごとの効果を決めつけず、自社の仕事で試して確かめることが重要です。
生成AIを使うメリット

初稿や要約を作る時間を短くしやすい
白紙から文章を書く代わりに、AIが作った案を人が直す進め方にすると、着手までの負担を減らせることがあります。定型的な案内や会議内容の整理など、繰り返し行う作業と相性があります。
少人数でもアイデアを広げられる
見出しや告知文の案を複数出したり、別の視点から改善点を挙げたりできます。専任の広報担当者がいない会社でも、企画や情報発信を始めるときの補助になります。
業務の手順を見直すきっかけになる
どの仕事に時間がかかっているか、どの情報を繰り返し作っているかを整理する過程で、業務の流れや社内文書を見直せます。導入そのものを目的にせず、困っている作業が改善したかで判断しましょう。
生成AIを使うときの危険性・注意点

もっともらしい誤情報が出ることがある
生成AIは、論理的で正しそうに見える文章でも、事実が間違っていたり、説明の筋道が破綻していたりすることがあります。制度、補助金、法律、金額、製品仕様などは行政や提供元の公式情報に照らし、専門性が必要な内容は知識のある担当者が確認しましょう。誤りを見つけた場合は、どこがなぜ違うのか、正しい情報は何かをAIに伝えて回答を修正させると、同じ会話の中で同じ誤りが出にくくなることがあります。ただし、次回以降に反映されるかはサービスの記憶機能や設定、モデルによって異なるため、人による確認は続けてください。個人情報保護委員会も、生成AIの出力に不正確な内容が含まれる可能性を注意点として挙げています。
機密情報や個人情報の入力に注意する
顧客名、連絡先、契約書、未公開の価格、従業員情報、営業秘密などを、確認せずに入力してはいけません。サービス、契約プラン、設定によって、入力内容の保存や利用の扱いが異なります。たとえばOpenAIはChatGPT Businessのワークスペースデータを標準で学習に使わないと説明し、GoogleもWorkspaceの組織データをGeminiの学習に使わないと案内しています。ただし、それだけで社内情報を自由に入力してよいとは限りません。利用目的、保存期間、共有設定、接続アプリ、管理者設定を確認しましょう。詳しくは個人情報保護委員会の注意喚起も参照してください。
著作権や利用条件を確認する
生成した文章や画像は、既存の著作物や他社の表現に似る場合があります。入力する素材に利用許諾があるか、サービスの利用条件が商用利用を認めているか、公開前に確認します。AIと著作権の考え方は個別の状況によって異なるため、文化庁の資料を参考にし、重要な案件では専門家にも相談してください。
判断や顧客対応をAIに任せきりにしない
AIの案をそのまま採用すると、会社の実情に合わない説明や、相手に失礼な表現が含まれることがあります。採用、価格決定、契約、苦情対応など、影響の大きい判断は担当者が行い、AIは情報整理や下書きの補助として使いましょう。
生成AIを安全に始める5つの手順

- 困っている作業を一つ選ぶ:時間がかかる、繰り返しが多いなど、改善したい業務を具体化します。
- リスクの低い仕事から試す:公開情報や匿名化したサンプルで、文章の下書きや要約などを試します。
- 利用するサービスとアカウントを決める:既存のMicrosoft 365やGoogle Workspaceを含め、必要な機能、費用、データの扱いを比較します。
- 簡単な社内ルールを作る:使ってよいサービス、入力禁止情報、出力の確認者、顧客向けに使う場合の承認方法を決めます。
- 時間と品質を見て続けるか判断する:作業時間だけでなく、修正にかかった手間、ミスの有無、使う人の負担も確認します。
経済産業省などが公表するAI事業者ガイドラインも、AIに関わるリスクや利用者の役割を考える際の参考になります。自社の業務や扱う情報に合わせて、必要な対策を検討しましょう。
生成AIについてよくある質問
無料の生成AIを会社で使ってもよいですか?
一律には判断できません。サービスの利用条件、データの扱い、会社の情報管理ルールを確認し、会社として利用を認めたサービスとアカウントを使いましょう。
有料プランなら機密情報を入力できますか?
有料かどうかだけでは決められません。プランや契約、管理設定、入力情報の種類を確認し、社内で許可された範囲に限って利用します。判断できない情報は入力しない運用から始めると安全です。
最初に導入するツールはどう選べばよいですか?
人気ランキングだけで決めず、改善したい仕事、現在使っているソフト、利用者、情報の機密性、費用を整理して選びます。まずは一つの業務で試し、必要性を確認してから広げましょう。
まとめ:一つの業務から試し、ルールと確認を整える
生成AIには、チャット型、オフィスソフト連携型、画像・音声などの生成型、業務特化型があります。小さな会社では、メールの下書きや会議メモの整理など、範囲を決めやすい仕事から試す方法があります。
一方で、誤情報、情報管理、著作権、顧客対応などの注意も欠かせません。利用するサービスとアカウントを決め、入力する情報のルールと人による確認を整えたうえで、実際に役立つかを確かめましょう。
「どの業務から始めるべきか」「自社に合うサービスはどれか」「社内ルールをどう決めるか」で迷う場合は、EIPにご相談ください。業務や現在のWeb・IT環境を整理するところから、一緒に検討できます。お問い合わせはこちら。
