「営業は毎月数字に追われてきつい」
「今の営業を辞めたいけれど、別の営業へ転職しても同じなのだろうか」
「そもそも自分は営業に向いていないのだろうか」
営業がきついと感じたとき、すぐに「営業職そのものが向いていない」と考えてしまう人もいるかもしれません。しかし、「営業」と一口にいっても仕事内容は大きく異なります。
個人営業か法人営業か、新規開拓か既存営業か。飛び込みやテレアポが中心なのか、問い合わせ対応が中心なのか。毎月契約件数を追う仕事なのか、半年から数年かけて一件の取引を進める仕事なのか。扱う商品や顧客、評価制度によって、営業のきつさは大きく変わります。
筆者自身も大手不動産会社で約8年間営業を経験し、最終的には営業職を離れて事務職へ移りました。ただ、営業を経験した今だからこそ感じるのは、「営業がきつい」と感じる原因を分解することが重要だということです。
この記事では、営業職全体を一括りにせず、業界や営業方法による違いも含めて整理していきます。
特定の営業について詳しく知りたい人は、それぞれの個別記事も参考にしてください。
営業がきついかの結論

同じ営業でも、新規開拓の割合やノルマ・KPIの種類、個人営業か法人営業か、顧客一人あたりの単価、商談期間、インセンティブ制度、勤務時間、休日対応の有無などによって働き方は大きく異なります。
そのため、営業がきついと感じたときに最初に考えたいのは、「営業そのものが嫌なのか」ではなく、「今の営業の何がきついのか」です。
例えば新規開拓がつらいのであれば、既存顧客中心の営業へ移る方法があります。個人客への対応が負担なのであれば、法人営業へ移る選択肢があります。毎月数字を追うこと自体が大きなストレスなのであれば、営業以外の職種へ移ることも考えられます。
今の環境だけを基準に、自分には営業しかできない、あるいは営業には一切向いていないと決める必要はありません。営業がきついと言われる7つの理由

業界によって仕事内容は異なりますが、営業職で負担になりやすいポイントには共通点があります。ここでは、営業経験者がきついと感じやすい代表的な7つの理由を見ていきます。
1.数字やノルマによって評価される
営業の特徴の一つが、成果を数字で確認しやすいことです。売上、契約件数、商談数、アポイント数など、会社によって指標は異なりますが、多くの営業職では何らかの数値目標があります。
成果が明確になることをメリットと感じる人もいます。一方で、「今月あと○件足りない」「目標達成率が低い」と毎月数字を追い続けることに大きなストレスを感じる人もいます。
営業の数字の追い方については業界によってもかなり違います。例えば、不動産営業では売上以外にも複数の数字を追う会社があります。
2.断られることが仕事の一部になる
営業では、すべての提案が契約につながるわけではありません。提案を断られる、他社の商品を選ばれる、連絡が返ってこないなど、新規開拓の場合はそもそも話を聞いてもらえないこともあります。
この「断られる回数」は営業方法によって大きく変わります。飛び込み営業やテレアポを中心とする仕事では、一日に何度も断られることがあります。一方で、既存顧客や問い合わせ顧客を中心に担当する営業では、新規開拓の割合が低い場合もあります。
断られること自体よりも、「どの程度新規開拓が必要なのか」を確認することが重要です。
3.成果が自分だけでは決まらない
営業は、自分が頑張れば必ず成果が出る仕事ではありません。商品の価格、競合、景気、顧客の予算、社内の納期、サービス品質など、さまざまな要因によって契約の成否が変わります。
それでも営業担当には数字が求められます。自分だけではコントロールできない要素が多い中で結果を求められることに、きつさを感じる人もいます。
4.顧客の予定に働き方が左右される
営業は顧客と直接やり取りする仕事です。そのため、自分だけでスケジュールを決められないことがあります。個人向け営業であれば土日や夕方に商談が入りやすい仕事があり、法人営業であれば平日日中が中心でも、顧客から急な依頼が入ることがあります。
どの程度顧客都合で予定が変わるかも、営業職を選ぶ際の重要なポイントです。
5.営業以外の業務も多い
営業の仕事は商談だけではありません。顧客への提案や商談に加え、次のような周辺業務を担当することもあります。
- 見積書作成
- 顧客情報の入力
- 提案資料作成
- 契約手続き
- 社内調整
- 日報
- メール対応
日中に商談が集中すると、これらの業務を商談後に行うことになり、残業につながる場合もあります。「営業そのものより、営業後の事務作業がつらい」と感じる人もいます。
6.成果主義の職場では社内競争が生まれやすい
営業会社では個人ランキングや表彰制度が設けられていることがあります。競争が好きな人にとってはモチベーションになりますが、周囲と常に比較されることがストレスになる人もいます。
同じ営業職でも、個人目標中心なのか、チーム目標中心なのか、個人ランキングを公開するのかによって職場の雰囲気はかなり変わります。転職時には仕事内容だけでなく、どのような評価制度が採用されているかまで確認しておくことが重要です。
7.「この働き方を続けられるか」と不安になりやすい
20代では続けられていても、「30代、40代になっても毎月同じ数字を追えるだろうか」「家庭を持っても今の休日体系で働けるだろうか」と考えることがあります。
営業を辞めたいと考える理由は、今つらいからだけではありません。将来を考えたときに、現在の働き方を続けるイメージが持てないことも大きな理由になります。
【業界別】きついと感じやすい営業ランキング

※営業職のきつさは、会社の営業方針や配属先、担当顧客、評価制度などによって大きく異なります。そのため、ここで紹介する順位は絶対的なものではなく、営業職を比較するときの一つの目安として参考にしてください。
ここでは、新規開拓、ノルマ、顧客対応、勤務時間、専門知識、成果へのプレッシャーなどを基準に、負担を感じやすい営業を整理します。
1位 不動産営業
きつさ:★★★★★
不動産営業は、成果主義、新規開拓、土日勤務などが重なる会社もあり、負担を感じる人がいます。特に賃貸仲介、売買、住宅営業では仕事内容も異なるため、「不動産営業」と一括りにせず職種まで確認することが重要です。
2位 保険営業
きつさ:★★★★★
保険営業では、新規顧客をどのように開拓するかが大きなポイントになります。個人向けの場合、契約後も長期的なフォローが必要になることがあります。
一方で、成果と収入が連動しやすい環境を好む人にとっては魅力になる場合もあります。
3位 証券営業
きつさ:★★★★☆
証券営業では金融商品を扱うため、営業力だけではなく商品や市場について学び続ける必要があります。顧客の資産に関わることから、責任の重さを負担に感じる人もいます。
4位 人材営業
きつさ:★★★★☆
人材営業では、企業と求職者という複数の関係者を調整する仕事があります。採用したい企業側と転職したい求職者側の希望が一致しないこともあり、調整力が求められます。
スピード感のある環境を負担に感じる人もいます。
5位 住宅営業
きつさ:★★★★☆
住宅営業は一件あたりの金額が大きく、契約までの期間も長くなります。顧客にとって大きな買い物になるため、提案から契約まで丁寧な対応が求められます。
土日が商談の中心になりやすい点も特徴です。
6位 IT営業
きつさ:★★★☆☆
IT営業では、営業スキルだけではなくサービスやシステムについての理解が求められます。一方で、法人営業やオンライン商談を中心とする企業もあり、働き方は会社によって大きく異なります。
「営業は続けたいが、個人向け営業から離れたい」という人の転職先候補になることもあります。
7位 自動車営業
きつさ:★★★☆☆
自動車営業では土日祝日に来店が集中しやすく、顧客との長期的な関係構築も必要になります。車両販売だけでなく、保険、車検、買い替えなど継続的なフォローを担当する場合もあります。
8位 ルート営業・既存営業
きつさ:★★☆☆☆
ルート営業や既存営業では、すでに取引のある顧客を担当するケースがあります。新規開拓中心の営業と比較すると、飛び込み、テレアポ、ゼロからの顧客獲得が少ない会社もあります。
「人と話すことは嫌いではないが、新規営業がつらい」という人は、営業そのものを辞める前に検討する価値があります。
営業がきついなら「何が嫌なのか」を分けて考える

営業を辞めたいと考えたときは、「営業が嫌」という一言でまとめず、何に負担を感じているのかを分解してみましょう。原因が分かれば、営業職そのものを辞めなくても解決できる場合があります。
| きついと感じること | 考えられる選択肢 |
|---|---|
| 新規開拓がきつい | 既存営業・ルート営業 |
| 個人客への対応がきつい | 法人営業 |
| 毎月の契約件数を追うのがきつい | 長期提案型の営業や営業以外の職種 |
| 商品に興味を持てない | 別業界の営業 |
| 数字で評価されること自体が苦しい | 営業事務・事務・サポート職など |
| 顧客対応自体が苦しい | バックオフィス系職種 |
このように考えると、「営業を続けるか、完全に辞めるか」という二択ではなくなります。営業の中で働き方を変える方法と、営業経験を活かして別職種へ移る方法の両方を検討できます。
営業に向いている人

営業に向いているかどうかは、単純に「話すことが好きか」だけでは判断できません。目標への向き合い方や相手とのコミュニケーション、失敗したあとの切り替え方なども関係します。
目標から逆算して行動するのが好きな人
営業では目標と結果が明確です。数字を見ながら、「今月あと何件必要か」「そのために何件商談を作るか」と考えることが得意な人には向いています。
人の話を聞くのが好きな人
営業では、自分が話し続けることより、相手の課題を聞くことが重要です。「何に困っているのか」「何を実現したいのか」を聞き出すことを楽しめる人は営業で強みを発揮しやすいでしょう。
結果が評価に反映される環境が好きな人
年齢や勤続年数よりも成果を評価してもらいたい人には、成果主義の営業が合う場合があります。
失敗から切り替えられる人
営業では、すべての商談が成功するわけではありません。失敗を振り返りつつも、「次はどうするか」へ切り替えられる人は長く続けやすいでしょう。
営業が向いていない可能性がある人

一方で、営業特有の評価方法や顧客との関わり方が大きな負担になる人もいます。ただし、一つ当てはまったからといって営業全般に向いていないとは限りません。
数字で評価されることが大きなストレスになる人
毎月数字を見るたびに強い不安を感じる場合、営業以外の評価軸を持つ職種のほうが合う可能性があります。
断られるたびに長く落ち込んでしまう人
特に新規営業では断られる回数が増えます。ただし、新規開拓が苦手なだけで営業そのものが向いていないとは限りません。既存営業へ移ることで働きやすくなる場合もあります。
仕事とプライベートを完全に切り分けたい人
顧客対応の時間が不規則な営業もあります。転職するときには、職種名だけではなく、実際の働き方まで確認することが重要です。
営業がきつい人におすすめの転職先

営業がきついからといって、これまでの経験をすべて捨てる必要はありません。何に負担を感じているかによって、営業経験を活かしながら働き方を変えられる職種があります。
既存営業・ルート営業
営業そのものは嫌いではなく、新規開拓だけがきつい人に向いています。これまで培った提案力や顧客対応力を活かしながら働き方を変えられる可能性があります。
カスタマーサクセス
新規契約を取ることより、既存顧客の利用支援を行う仕事です。顧客とのコミュニケーション経験を活かせる職種の一つです。
営業事務
営業担当をサポートする仕事です。営業経験があれば、「営業担当がどのような情報を必要とするか」が理解しやすいという強みがあります。
事務職
毎月の売上や契約件数による評価から離れたい人の選択肢です。筆者自身も営業職から事務職へ移りました。
人事・採用
営業で身につけたヒアリング力やコミュニケーション能力を活かせる職種です。
別業界の営業
営業そのものではなく、現在の業界や商材が合わないだけの場合もあります。営業経験を捨てるのではなく、業界を変えるという方法もあります。
営業経験は他の仕事でも活かせる

営業経験で身につくのは「商品を売る能力」だけではありません。日々の業務を細かく分けてみると、他職種でも活かせる経験が数多くあります。
転職するときには「営業を○年間していました」だけではなく、「誰に対して」「何を提案し」「どのような業務を担当していたか」まで分解して伝えることが重要です。
営業がきついと感じる人によくある質問(FAQ)

営業は本当にきつい仕事ですか?
営業には数字による評価、新規開拓、顧客対応など負担になりやすい要素があります。ただし、営業方法や業界によって働き方は大きく違います。
営業職全体を一括りにして判断するのではなく、自分が何をきついと感じているのかを整理することが重要です。
営業を辞めるのは甘えですか?
営業が合わないと感じる理由によります。新規営業だけが苦手なら既存営業へ移る方法もありますし、数字による評価自体が大きな負担なら営業以外へ移る選択肢もあります。
「営業を続ける・辞める」の二択ではなく、仕事内容を分解して考えることをおすすめします。
営業しか経験がなくても転職できますか?
可能です。営業で経験するヒアリング、提案、顧客対応、調整などは他職種でも使える能力です。
職種名だけではなく、実際に担当してきた業務を整理しましょう。
営業を続けるか辞めるか迷っています
まず、「営業そのもの」「業界」「会社」「新規開拓」「数字」「勤務時間」のどこに不満があるのかを書き出してみることをおすすめします。
原因によって、営業を辞めなくても解決できる場合があります。
まとめ|営業のきつさは分解すれば対処できる

営業がきついと言われる背景には、さまざまな要因があります。
ただし、すべての営業職が同じ働き方ではありません。不動産営業、保険営業、人材営業、IT営業、法人営業、ルート営業など、それぞれ仕事内容も、数字の追い方も、顧客との関係も異なります。
そのため、営業がきついと感じたときは、「自分には営業が向いていない」とすぐに決めるのではなく、「現在の営業のどの部分が自分に合っていないのか」を考えることが大切です。
新規開拓がつらければ既存営業へ。業界が合わなければ別業界へ。数字を追うこと自体が苦しければ営業以外へ。営業経験を活かしながら働き方を変える方法はいくつもあります。
